1993/9/17  資料2-7 93年度第3回JPNIC運営委員会 CHARGE WG 資料 9/17/93 1. はじめに この資料は来年度の会費を検討する際の参考資料として,いままでの状況と検 討すべき課題についてまとめたものである.今回の資料はWG内でまとめたもの で,JPNICの公式見解を述べたものではないので注意して欲しい.さらに,内 容を加筆,修正したのち委員のコンセンサスをうけ,JPNICの正式な文書とし て発行するつもりである. 2. JPNIC会費の概要 JNIC当時の運用はボランティアベースで行なわれており,交通費はすべて委員 の個人負担,計算機設備も各ネットワークプロジェクトの既存設備を流用して いた.そのため,安定したサービス,国際協調関係の維持,データベースなど の新サービス用設備の確保,委員の個人的な負担の軽減などをはかるための財 源の確保がJNIC組織化の検討と並行して議論された.そして,93年度JPNIC設 立にあわせて,JPNICの参加ネットワークからの会費を徴収することになった. JPNICの活動にかかる費用は大きくわけて, □ JPNICサービスを提供するうえで必要な人件費,設備費,通信費,印刷費など. □ JPNICの運営に必要な各委員会開催のための交通費,会議費など. □ JPNICサービスを維持するために必要な国際協調にかかる費用,出張費など. などがある.そしてこれらの財源として,当面は公的な補助,大口の寄付など は考えられないこと,受益者による負担を考え,JPNIC参加ネットワークによ る会費という形態をとることになった.会費の設定にあたっては,つぎの点が 明確になるよう考慮された: □ 会費はJPNICの活動を支援するためのものである. □ ネットワーク資源を部分売りするといった印象を与えるような料金の 徴収は行なわない.(例: IPアドレス一つあたりXXX円) □ JPNICの作業量を反映した会費の設定.(例:大きいネットワークほとJPNICの 作業量が増加することを考慮する) □ ネットワークプロジェクトの人的,設備的な貢献も考慮する. □ ネットワークプロジェクトの経済的な実情にあった会費の設定. □ 不公平感の少ない会費の体系であること. □ 利益をあげないこと. まず,JPNICの活動に必要な費用を見積り,上記のいくつかの点を考慮しなが ら,会費案の作成を行なった. 3. JPNIC会費検討の経緯 1) 初期原案(92年11月IP Meetingにおいて公表) JNICの活動に最低限必要な費用の見積りから以下のような会費案が作成された。 ----------------------------------------------------------------- 区分 参加組織 主たる会員が個人である 非営利 その他 ネットワークの会員数 (単位 口数) ----------------------------------------------------------------- 1 2 -- 10 200 --- 1,000 2 10 2 11 -- 30 1,001 --- 3,000 4 20 3 31 -- 100 3,001 --- 10,000 6 30 4 101 -- 300 10,001 --- 30,000 8 40 5 301 -- 30,001 --- 10 50 ----------------------------------------------------------------- (一口10万円) 2) 指摘された問題点と改正案 ・年会費/参加組織数が区分境界で階段状になっているため、区分を越えた 直後の加入組織の負担が以下の表のように急増する。(特に区分1,2,3で顕著) --> 初期原案の区分を細分化して、負担逆転を低く抑えるとともに、 事務処理の繁雑さをさけるためlog カーブを整数化してランク間の滑らかさ を増す。 ----------------------------------------------------------- 区分 参加組織 タイプAの1サイトあたり負担金 口数 ----------------------------------------------------------- 1 2 -- 10 100,000 -- 20,000 2 2 11 -- 30 36,364 -- 13,333 4 3 31 -- 100 19,354 -- 6,000 6 4 101 -- 300 7,921 -- 2,667 8 5 301 -- 3,322 -- 10 ----------------------------------------------------------- (一口10万円) ・パソコン通信のユーザ数が非常に多いという現状から、組織数*1000 の値をもってランクを分けるように変更し、サービス開始時で会員数0の パソコン通信等も会員になれるように関係文書を見直す。 4. 現在の会費表の基本的な考えかた 現行の会費表は以下の通りであるが、この表の根拠となった考えをまとめる。            主たる会員が個人である タイプA 区分  参加組織 タイプA タイプB 一組織当たり            ネットワークの会員数 (口数) (口数) の負担(万円) (参考) ------------------------------------------------------------------------------ 1   〜 10  〜 10,000 2 10 -- 2.0 2  11 〜 20 10,001 〜 20,000 3 15 2.7 -- 1.5 3 21 〜 30 20,001 〜 30,000 4 20 1.9 -- 1.3 4 31 〜 50 30,001 〜 50,000 5 25 1.6 -- 1.0 5 51 〜 70 50,001 〜 70,000 6 30 1.1 -- 0.75 6 71 〜 100 70,001 〜 100,000 7 35 0.86 -- 0.7 7 101 〜 200 100,001 〜 200,000 8 40 0.8 -- 0.4 8 201 〜 300 200,001 〜 300,000 9 45 0.4 -- 0.3 9 301 〜 500 300,001 〜 500,000 10 50 0.3 -- 0.2 10 501 〜 700 500,001 〜 700,000 11 55 0.22 -- 0.16 11 701 〜 1000 700,001 〜 1,000,000 12 60 0.17 -- 0.12 ----------------------------------------------------------------------------- (現在は一口10万円。細則の変更により変更は可能) 1) 会費総額について JPNICの活動を独立した事務所を設置して、十分に行なうためには、総会資料 「JPNIC社団(財団)化計画(案)」に示された年間必要経費5,500万円程度が必要 であるが、運営委員の仕事がすべてボランティアで賄われるとしても、今年度 予算に示されるように、年間1,000万円程度の費用が必要となる。そのため、 JPNIC設立時のJPNIC会員数と各区分の見積りに基づき一口の金額を設定した。 2) 参加組織数と会費口数の関係 現行のタイプAの年会費口数Nは、ほぼ 8*log(組織数)/log(300) ≦ N ≦ 10*log(組織数)/log(300) を満たすように設定されている。基本的には組織数が大きくなるにしたがって JPNIC年会費の負担は大きくなるが,組織数が大きいほど一組織当たりのJPNIC 年会費の負担は小さくなる。その理由は以下の通りである。 ・組織数が多いほと,そのネットワークプロジェクトに対する作業量は多くなる ので,それに準じた負担が必要である.しかし,JPNIC会員のネットワークプ ロジェクト毎にドメイン名、IPアドレスの申請手続きを取りまとめたり、質問 に応じたりすることが期待されるため、一組織当たりのJPNICの業務が軽減さ れる。 3) タイプAとBの会費口数比について タイプAとBの口数費は1:5となっている。その理由はすでに,JPNICの運用に当 たって,必要とする費用の回収の4/5をボランティアベースに頼らざるおえな い状況にある.タイプBのネットワークでは,組織の性格上ボランティアベー スの支援が難しいことを考慮して,それに相当する分を会費という名目で分担 してもらうこととした. 5. 問題点、課題 1) 来年度もこの会費表のままで十分な活動が行なえるか? もっと集める必要 があるか? 来年度の活動方針と予算から割出すのが妥当でしょうか。 2) 地域ネットワーク,商用ネットワークの出現など,会費設定時と状況に大 きな変化がある.これらのネットワークとのコンセンサスと理解を得る必 要がある. 3) 1:5問題.すべての学術ネットワークに人的な貢献を期待してよいか? 学術ネットワークの認証の問題. 4) JPNICの国際活動に関わる財源をどのように考えるか? など,来年度の予算検討に合わせて,以上の点を検討する必要がある.