JPNICレポート2 神山一恵 ドメイン名の割当て ドメイン名とは?   インターネットでは、組織を表す名前として"AAA.BB.JP"のようなピリオド で区切られたドメイン名を用いています。  このドメイン名は電子メールの住所の一部でもあり、世界中にある組織のな かから特定できる唯一無二の名前でなければなりません。そこで、ピリオドで 区切られた一番後ろのドメイン名(第1レベル、またはトップレベルと呼ぶ (*1))にISO 3166で決定された国を表すコード(日本はJP)を用いることが決 まっています(*2).そこで、日本においては第1レベルをJPとする第3レベルま でのドメイン名(以下、JPドメイン名という)を割り当てる業務を、現在 JPNICのJPドメイン名割当てグループがおこなっています。 *注1.ピリオドで区切られたドメイン名を後ろから第1レベル、第2レベル、第3 レベル、...と呼んでいます。 *注2.米国のEDU、COMやNETなどの例外もあります。 ほとんどがこのコードが決まる前から使われていた歴史的事情によるものです。 JPドメイン名の構成と現状 JPドメイン名は、第2レベルが組織の属性を表す2文字のコード(AC=学術機関、 CO=企業、GO=政府機関、OR=団体、AD=ネットワーク管理組織(*3))、第3 レベルが組織の名称を表す名前(組織ドメイン名と呼ぶ)となっています。現 在、JPドメイン名は「組織」を対象に割り当てられており、JPNICで認められたい くつかの例外(*4)を除いて”1組織1ドメイン”しか割り当てられません。 1993年9月1日現在のJPドメイン名の数を表1に 示します。JPNICでは、毎月 約30-40ドメインの割り当てや変更、削除などの申請を処理しており、毎月増 加する傾向にあります。 表1 JPドメイン名割当て数 属性 ドメイン数 未接続数 AC 312 63 CO 676 177 GO 77 12 OR 77 17 AD 25 5 JP 3 0 合計 1170 274 *注3.第2レベルが組織ドメイン名になっている組織が3つありますが、これも歴史 的事情によるものです。 *注4.ある組織が異なる通信サービスを管理・運用するために必要な場合や、組織 ドメイン名を変更する場合の移行期が、例外として認められています。 JPドメイン名の今後 個人への割当て  最近、個人的にドメイン名が欲しいという要望が多く寄せられています。こ れまでの規則では、法人または団体でないと割当ての対象になりませんでした が、1993年6月1日から適用されている規則では、個人に対して次の方法が用意 されています。 1.属性ORの範囲の拡大 個人を対象とするインターネット・サービス提供者から、第4レベル以下の ドメイン名を個人に割り当てることを可能にするためのORドメイン名の 申請 があった場合、これを割り当てることとしました。これにより、個人を対象と するサービスをおこなっているネットワーク(たとえば、xxx,or,jp)から、 myname・xxx,or.jp”のようなドメイン名を割り当ててもらうことができます。 2.属性COの範囲の拡大 個人事業主は企業と同様に扱い、属性COのドメイン名を割り当てることとし ています。しかし、この件については次の地域ドメイン名の導入とあわせて検 討が継続しており、現状は商号登記がおこなわれている事業所に限っています。 JPNICではさらに、次に説明する地域ドメイン(Geographic Domain)制度の 導入により、個人のJPドメイン名取得の選択の幅が拡がるよう検討しています。   地域ドメイン制度の導入  現行のドメイン名制度のみで運用していく場合、たとえば、近い将来全国の 公立中学校などにインターネットが導入されたとすると、属性ACのドメイン名 が膨大な数になってしまいます。数が増えるだけでなく、それぞれの組織ドメ イン名は異なる必要があるので、重複しないように長い名前を付けたり、希望 のドメイン名がすでに存在するために変更を余儀なくされる可能性がかなり高 くなると思われます。これをある程度回避するための方法が地域ドメイン制度 の導入です。  地域ドメイン制度とは、その名のとおり地域名をドメイン名として表す制度 で、すでに米国などでは導入されています。現在JPNICでは、第2レベルに都道 府県を表す名前、第3レベルに市長村区を表す名前を用いるようにして、第4レ ベルの割り当てをおこなうことが検討されています。この制度が導入されると、 地域に密着した組織(都道府県や市長村区の機関、小・中学校など)をこれま での属性とは別に取り扱うことが可能になります。また、この制度は、組織を 対象とするだけでなく、その地域に住んでいる個人やその地域で営業している 個人事業主も割当て対象になります。  現在JPNICでは、第2,第3レベルの名称をどうするか、またドメイン名を実 際に取り扱うためのネームサーバーの稼動に問題がないか、などの具体的な検 討を始めており、地域ドメイン制度の早期実現を目指しています。 ドキユメントの入手 現在ドメイン名割当てに適用されている規則や、JPドメイン名に関する新規 取得、変更、削除などの各種申請についてのドキュメントは、 info@domain.nic.ad.jpに空の電子メールを送ると自動的に返送されます。電 子メールが使用できない場合には、JPNIC事務局にご連絡いただければ郵送い たします。  現在返送されているのは以下のドキュメントですが、地域ドメイン制度導入 が予定されているため、近々更新される予定です。  ●JPドメイン名の割当てについて  (1993年6月1日付)  JPドメイン名の定義や、申請全般にわたる注意車項などについて記述されて います。 ●JPドメイン名の新規申請について  (1993年6月1日付)  JPドメイン名新規申請のための申請書。新規申請に関する注意車項や、記入 要領が記述されています。  ●JPドメイン名に関する変更申請について  (1993年6月1日付) JPドメイン名変更申請のための申請書。変更申請に関する注意事項や、記入 要領が記述されています。 ●ドメイン名の廃止申請について  (1993年6月1日付)  JPドメイン名廃止申請のための申請書。廃止申請に関する注意事項や、記入 要領について記述されています。  ●組織ドメイン名選択のためのガイド  (1993年2月1日付)  JPドメイン名新規申請の際の組織ドメイン名の決定方法についてのドキュメ ント。 JPドメイン名の申請 申請については、新規、変更、削除の3種類がありますが、いずれの場合も 電子メールまたは郵送で受け付けています(*5)。提出された申請書は、不備が ないかぎりJPNICに申請書が届いてから約10日以内に処理され、通知書が申請 者(あるいは仲介者)に返送されます。新規申請の場合、これにより新ドメイ ン名が割り当てられ、JPNICのデータベースに登録されます。ただしこのドメ イン名は、1年以内にネームサーバーの登録がなされない場合には使用されな かったとみなされ、無効になってしまいますので、注意が必要です(*6)。 また、各申請においては、申請書の様式が変更になる場合があります。自動処 理の都合上、上述の方法で最新のドキュメントを取得してから申請されるよう、 ご協力をお願いいたします。  *注5.事務作業の手間を軽減するため、申請者自身が電子メールを使えない場合には、 申請仲介者を介して電子メールで申請していただけるとたいへん助かります。 *注6.新規ドメインがネットワークに接続されたら、ドメイン名をJPNICのネームサー バーに登録しないと電子メールが届きません。この登録方法については、 info@dns.nic.ad.jpから得られる「ネームサーバーの設定手続きについて」およ びinfo@db.nic.ad.jpから得られる「JPNIC登録フォームについて」を参照して ください。 JPNIC連絡先 ●郵送による問合せ、申請、およびドキュメント請求先 〒113 東京都文京区弥生2ー11-16   東京大学大型計算機センター内   日本ネットワークインフォメーションセンター  かならず、返信用封筒(切手貼付のこと)を同封し,封筒の表に 「ドメイン名 申請書在中」などと用件を朱書きのうえお送りください。 ●電子メールによる問合せ、申請先  ードキュメント請求   info@domain.nic.ad.jp  ―問合せ query@domain.nic.ad.jp  ―ドメイン名に関する申請書受付 apply@domain.nic.ad.jp おわりに  JPドメイン名割当ての申請がたいへん多く、インターネットの普及の速さに は本当に驚いています。また、その結果として電子メールの届く人が増えてい ることはとても嬉しく、望ましいことであると思います。 JPNICでは、割当て作業を迅速に処理するシステムの構築、地域ドメイン制 度などの新しい制度の検討、分かりやすいドキュメントの整備などをおこない たいと考えています。 そこで、皆様からのご意見・ご要望などがございまし たらぜひお寄せくださるよう、お願いいたします。         (かみやま・かずえ 東京理科大学)