JPNIC 会費検討部会 (FINANCE WG) 経過報告 佐野 晋 JPNIC 運営委員 (FINANCE WG Chair) / NEC 1. JPNIC の会費に関する検討 現在,JPNIC は実質的には会費を唯一の収入元しており,活動経費をまかなっ ています.会員となっているネットワークプロジェクトから,規模と性格に応 じた金額を会費として徴収しています.JPNIC の会員は,性格によって学術ネッ トワークとそれ以外に分類しており,これらの会費は同じ規模で 1対5 となっ ています.現在のこのルールは学術の判別が困難であり,さらに学術ネットワー クの分担が低いことがかえって不公平感を増しているという指摘があります. また,インタネット参加組織ごとの JPNIC 会費の分担金をみると,その組織 の接続するネットワークプロジェクトの規模に応じて,20 倍以上の差がでて しまうなどの問題も指摘されています. 一方,国内のインタネットは現在,急速に発展しており,JPNIC の作業量も 増加することは明らかです.このような状況の下,JPNIC の役割りはますます 重要なものとなってきています.専任スタッフや設備の増強,事務所の開設な どの必要性もでてきており,増加する業務を行なう経済的な基盤を確保する必 要がでてきています. 従来,この会費に関する問題は,JPNIC 運営委員会と,運営委員をメンバと するワーキンググループで議論を進めてきましたが,日本のインタネット全体 に関わるため,94年度は会費検討部会としてオープンな検討ワーキンググルー プを組織(*) し,おもにメイリングリストをベースに検討を続けています. ここでは,このワーキンググループの検討内容と今後のスケジュールを紹介 します. 2. 検討の骨子 2.1 前提条件 会費を検討するにあたって次のような前提条件を設けました. ・不公平感のないルール インタネットは学術研究目的以外でも広く用いられるようになり,国内の 重要な情報基盤として機能するようになっています.このような状況では 特定のコミュニティに依存したり,利用者からみた負担に極端な違いがあ ることは,健全なインタネットの発展を阻害するものとなります. ・JPNIC を安定的に運営するに足りるだけの収入があること インタネットの発展とともに,JPNIC の業務は増加することが予想されて います.これにあわせて,発生する費用も大きくなるでしょう.このこと を考えると業務増加に見合った,収入増となる仕組みが重要となります. さらに,JPNIC の法人化も並行して検討されており,このことも考慮する 必要があります. ・国際的に認められること インタネットは国際的に協調することで成立しています.JPNIC の運営費 用についても,国際的なインタネットの方針から逸脱したものであっては いけません. ・現実可能であること 支払い方法が簡単で,現実的な集金のシステムを考慮する必要があります. 2.2 新会費システムの骨子 会費についてワーキンググループでは,前述の前提を基本に検討をおこなっ てきました.検討の過程ではいくつかの案が提案されました.ここでは,検討 の結果,ワーキンググループとして合意がとれた事項について紹介しましょう: ・JPNIC の会員と会費 従来通り,JPNIC の会員はネットワークプロジェクトとし,これら会員か ら会費を集める.会費額はネットワークプロジェクトの規模によって変わ りますが,従来の学術/それ以外といった区別はなくす. ・手数料と保守料の新設 登録の度に手数料をとるとともに,JPNIC の管理しているネットワーク資 源の量に応じて年間保守料を徴収する.対象となる資源としてはドメイン 名,IP アドレススペースなどがある. ・賛助会員の活用 JPNIC の活動を支援して頂ける賛助会員の制度を積極的に活用する. 現在,ワーキンググループでは,手数料と保守料の詳細と,これらの集金の方 法に関する具体的に検討しています. 2.3 実施時期 新ルールの実施時期については 95年度は従来の会費制度を継続するととも に手数料のみを導入し, 96年度に新しい会費制度を全面的に運用するのが現 実的です. 3. 今後の検討スケジュール 現在,ワーキンググループでは,10月19日に予定されている JPNIC の(臨時) 総会に向けて,準備を進めています.総会では新会費案の概要について説明し ます.この後,さらに詳細を検討し,95年度の総会で新会費案を決定したいと 考えています. -------- (*) ワーキンググループ参加希望者は,finance-wg-request@nic.ad.jp まで, 電子メイルアドレス,名前,所属を添えてお知らせください.また,ご意見・ コメントは finance-wg@nic.ad.jp まで,電子メイルでお寄せ下さい. --------