3. IPアドレスの割当てについて 3.1 IPアドレスとその割当て IPアドレスは、TCP/IP プロトコルに基づく計算機ネットワークに属する計算 機等に付与されるアドレスです。 JPNICは、計算機ネットワークの円滑な発展に資するため、Internet のネット ワークインフォメーションセンターである InterNIC、アジア太平洋地域のネ ットワークインフォメーションセンターである APNIC との調整の元、日本国 内の計算機ネットワークに対し、国際的に一意性の保証される IP アドレス (ネットワークアドレス部分) の割当ておよび管理を行っています。また、IP アドレスの管理に必要な情報を収集、整理し、ネットワーク利用者に情報サー ビスを提供しています。 日本国内のネットワークは、JPNIC へ申請を行います。直接 InterNIC に対し、 IP アドレスの割当てを申請することは原則としてできません。但し、ネット ワークが複数の国に跨る場合には、申請をアジア太平洋地域の NIC である APNIC へ行う必要が生じる場合があります。 IPアドレスの割当て対象は、TCP/IP プロトコルの計算機ネットワークを運営 する組織です。ここでいう「組織」は、責任者が明確となっている集団のこと であり、その他に特別な要件を必要としません。従って、日本ドメイン名の割 当てにおける「組織」の定義とは必ずしも一致しません。JPNIC へのIPアドレ スの申請は、日本に存在する計算機ネットワークを運営する組織であれば、ど こでも行うことができます。 3.2 IPアドレスの有限性 IPアドレスは国際的に協調して管理される有限の資源です。従って、必要とし ない IP アドレスの申請は控えてください。また、取得した後、使用する予定 がなくなったIPアドレスは JPNIC に返還してください。 3.3 IPアドレスの Class IPアドレスは、4 オクテット(32ビット)の数値であり、通常、1 オクテットず つを十進数としてピリオドで区切って表記されます。1 つのIPアドレスは、ネ ットワーク部とホスト部に区切られます。この区切り方は、最左オクテットの 値により 5 つの種類があり、それぞれ Class A, B, C, D, E とよばれていま す。 種類 最左オクテットの値 Class A 1 -- 127 Class B 128 -- 191 Class C 192 -- 223 Class D 224 -- 239 Class E 240 -- 255 Class A に属するアドレスは、ネットワーク部が 1 オクテットです。すなわ ち、1.2.3.4 というIPアドレスは、ネットワーク部が 1 で、ホスト部が 2.3.4 です。1 つの Class A のネットワークアドレスには、約1700 万(2 の 24 乗 - 2)台の計算機等を接続することができます。 Class B に属するアドレスは、ネットワーク部が 2 オクテットです。1 つの Class B のネットワークアドレスには、約 65000(2 の 16 乗 - 2)台の計算機等を接続することができます。 Class C に属するアドレスは、ネットワーク部が 3 オクテットです。1 つの Class C のネットワークアドレスには、254 (2 の 8 乗 - 2)台の計算機等を接続することができます。 Class D, Class E は特別な目的のために使用されます(⇒ 参考文献 RFC1166)。 申請者は、将来的な発展の状況を考慮にいれた上、ネットワークの規模に応じ た Class のアドレスを選択して申請してください。1994年 4月の時点では、 Class B のアドレスは 70% 以上が割当て済みとなっており、残存数が少な くなってきたので、可能な限り、Class B アドレスを申請する代わりに、いく つかの Class C アドレスの申請とすることが強く要請さています。 JPNIC は、InterNIC/APNIC と協調して、Class C のアドレスを管理し、ネッ トワーク部の割当てを行っています。割当てられた IP アドレスのホスト部は、 申請者が管理します。 Class B アドレスが必要な場合には、申請は JPNIC に対して行います。JPNIC では審査の上、必要と認められた場合には APNIC を経由して InterNIC に申 請を仲介します。Class B アドレスの割当ては、最終的には IANA --- Internet Assigned Numbers Authority --- によって判断されます。 3.4 IP ネットワークの構築とインターネット 近年のインターネットの急速な発展により、IP アドレスはパブリックなイン ターネットの相互接続性を維持するためのユニークなアドレス体系を保証する ものであるという考えもあります。また、経路制御情報をより合理的な管理を 行うために、アドレス割当てを経路を考慮したものにすべきであるという案が あります。 しかし、一方 TCP/IP によるネットワーク構築の要求はなお一層大きくなって います。 このような背景のもとにいくつかのアドレス割当て方針が存在しています。 外部との接続性のないネットワークでは、世界的にユニークなアドレスを使う 必要はなく、そのためのアドレスが予約されており (⇒ 参考文献 RFC1597)、 参考文献にはその手段が述べられています。このアドレスはインターネット上 の経路制御の対象にはなりませんが、JPNIC などに登録することなく自由に使 用することができます。 世界的にユニークなアドレス(グローバルアドレスということがあります)を 必要とする場合、以下の方法により申請を行うことができます。 3.5 申請手続き 3.5.1 プロバイダによる IP アドレス割当て インターネット接続を提供するものに対して、一部 IP アドレスの割当てが JPNIC より委任されています。これら提供者を経由して、IP アドレスの割当 てを受けることができます。 現在、IIJ、SPIN、InfoWeb、WIDE の各プロジェクト (サービスプロバイダ) が委任を受けています(1994年10月現在)。これらに接続を予定している場合は、接続時にその委 任されたアドレスブロックからの割当てを受けてください。なお、プロバイダ におけるアドレス割当ても、本文書に示された基準に従って行われています。 すでに JPNIC などからアドレスの割当てを受けている場合でも、そのアドレ スに対する経路情報を外部にアナウンスしない場合には、プロバイダから別に Class C のアドレスの割当てを受けることができます。また、現在所有してい るアドレスを返還することを前提に、プロバイダから新たなアドレスの割り当 てを受けることができます。 このようなプロバイダから割当てられたアドレスは、当該プロバイダとの接続 を失ったとしても返還する必要はありませんが、将来別なプロバイダとの接続 を行った場合には、 1. そのアドレスを全部返還し、新しいプロバイダからアドレスを取得する 2. そのアドレスをインターネットに対してアナウンスしないことを条件に、 新しいプロバイダから Class C アドレスの割当てを 1 つ受け、これ を使用する のいずれかの方法をとることが要請されます。 なお、JPNIC 宛の申請であっても、これらプロジェクトへの接続予定が記載さ れている場合には、プロジェクトの担当者宛に申請書を転送するので、あらか じめご了承ください。 3.5.2 JPNIC による割当て 上記 3.4, 3.5.1 に該当せず、直接、JPNIC へのアドレス申請を必要とする場 合、申請書は別紙注意事項を参照し、運用責任者の責任において記入してくだ さい。 割当ては、RFC1466 に基づいて行われます。したがって、原則として 2 年後 のホスト数予測値を 256 で除して端数を切り上げた個数のクラス C の割り当 てを行います。ただし、これではネットワークの構築が著しく困難である場合 には、サブネット構成を申請書に明記することによって、必要最小限のアドレ スが割り当てられます。 なお、郵送による場合、申請書は必ずワープロ等によりタイプ打ちしたものを 提出してください。申請を処理するための JPNIC とのやりとり、および、割 当て後のIPアドレスの管理に関する技術的やりとりは、技術担当者が行います。 申請は、電子メイルまたは郵送により行うことができます。JPNIC における事 務負担を軽減するため、極力電子メイルで行うようにお願いしています。技術 担当者が電子メイルを利用することができない場合、電子メイルを利用できる 者を申請仲介者とすることができます。なお、申請書の送付は、FAX では受付 けていないので注意してください。 JPNIC から技術担当者(申請仲介者がいる場合は申請仲介者、以下では一括し て申請者と呼ぶ)への連絡は、原則として、申請の時と同じ方法が取られます。 電子メイルによる申請の宛先は、apply@ip.nic.ad.jpです。 郵便の場合は封筒の表に「IPアドレス取得申請書在中」と朱書し、返送先を記 入した返信用封筒(切手貼付) 2枚を同封の上、JPNIC事務局IPアドレス割当て グループ宛で送付してください。返信用封筒は申請書受領通知と割当て通知書 送付のために使用されます。 申請書が提出されると、JPNIC は申請書の形式を検査し、10日間の作業日以内に、申請 書の受理または不受理を申請者あて連絡します。 申請が受理された場合、JPNIC は受付番号を付して、申請者に通知します。以 後、申請に関する問い合わせ等の際には、必ず、この受付番号を付けてくださ。 電子メイルによる場合は、以下の例のようにSubject: 欄の末尾に受付番号を括弧内に記入してください。 Subject: question on XXX XXX XXX (IP-940601) JPNIC は、申請のIPアドレスの個数が、JPNIC の定める基準を越えない場合、 申請書の受理から 10日間の作業日以内に、IPアドレスの割当てを行い、申請者に通知し ます。ただし、InterNIC/APNIC から JPNIC へのブロック割当てが滞った場合 な ど、やむを得ない事由により、一時的に割当て作業が遅れることがありま す。その場合、JPNIC は、10日間の作業日以内に申請者に対して、状況を連絡します。 また、郵送による申請や、Class B アドレス申請などの様に、JPNIC で割当てができないものに関 してはこの限りではありません。 JPNIC は、基準を越える申請に対しては、審議を行い、基準を越える部分につ いての割当てを行うかどうかを決定します。 JPNIC 及び InterNIC/APNIC は、申請書に記入された事項のうち、ホスト数、 サブネット数、インターネット接続予定、備考欄以外の全ての情報を公開情報 として取り扱います。なお、その他の申請者とのやりとりは、申請者の許可な く公開しません。また、ホスト数やサブネット数の現在値、予測値は誠実に記 入するものとし、虚偽の申請に関しては割当てを取り消すことがあります。 すでにアドレスの割当てを受けている組織が追加のアドレス割当てを申請する 場合、割当て済みのアドレスを申請書に記入してください。この場合、過去の 割当てがなかったものとして、割当て基準を適用し、妥当な数のアドレスから 割当て済みのアドレス数を引いた数のアドレスを新たに割当てます。また従来 のアドレスを返却することによって、割当て基準数の連続したアドレスの割当 てを受けることもできます。 3.6 申請の変更、取消し 申請者は、申請内容に変更があった場合、または、申請を取消す場合は、すみ やかに JPNIC に連絡してください。IP アドレスの割当てを受ける前の変更、 取消しの連絡方法は、申請のときと同じです。ただし、必ず、申請の受付番号 を記入してください。 3.7 質問、問合わせ IPアドレスの割当て、管理に関する質問・問合わせは、電子メイル(query@ip.nic.ad.jp宛)、郵送のほか、 FAX 03-5684-7256 により行うことができます。申請に関する質問、問合わせの際には、申請の受 付番号を記入してください。また、FAX の場合は、1 ページ目に、JPNIC の IP ア ドレス割当グループ宛であることを明記してください。