1. 巻頭言 --- 試行と施行 --- JPNIC センター長 村井 純 私はオーディオマニアではないし収拾癖もないのだが,音楽や映像は好きなの で,我が家では何百ものEP,LPのレコードやビデオ (勿論β) が少なからぬ空 間を埋めている.先日その空間の関係でオーディオシステムを変えようとした ときには,レコードプレーヤーも,PHONO端子のあるアンプも,βのデッキも 町の電気屋ではなかなか見つからなくなっていることに気がついた.考えてみ れば,我が家にもCDとVHSやLDがあふれはじめている.どうもテクノロジの発 展とマーケットの理論は一般の生活に,予想もできない,きまぐれな変革をも たらしてしまう. そういえば,10base5のEthernetを組み込んで設計した我が家も築7年となった が,結局せっかくスマートに見えるはずだった各部屋の同軸ケーブルの先には 見苦しい (と家族が言う) 10baseTのハブがぶら下がっている.そこに専用線 をつないで久しいが,「食事中にNETSCAPEするのはやめなさい.」とどなられ る子供をみていると, (この場面が気味悪がられないためにも,) FTTHなんて 10年前倒れても驚かない.先端テクノロジの発展の基盤としてのインターネッ トで,ネットワークの運用をスムーズに支援するためには,予想の難しい事柄 の思考,よい結果を得るための試行,健康な運用のための施行が極めて早いリ ズムで回転しなくてはならない.JPNICの役割と責任はさまざまな活動との連 携と協調でこの困難な作業を進めることであり,より充実した活動が進められ ることを切に願いたい.