2.3 APNIC報告 1 APNICの重要性 APNIC (Asia Pacific Network Information Center)は、その名前が示すよう にアジア太平洋地域のNICです。APNICとJPNICとの関係は下のようになってい ます。 IANA ←→ APNIC ←→ JPNIC つまりJPNICが割当を行なっているIPアドレスは、IANA (Internet Assigned Numbers Authority)がアジア太平洋地域のアドレスブロックとしてAPNICに割 当てたものの中から、さらにAPNICが日本の分としてJPNICに割当てたものです。 このように、APNICの存在はJPNICの業務と密接な関係があります。 APNICがアジア太平洋地域のIPアドレスの管理をするようになったのは、1994 年4月のことです。まだ歴史の浅いAPNICですが、アジア太平洋地域でのインター ネットの発展は著しく、その業務も拡大しています。 2 第3回APNIC Meetingの模様 96年1月20日(土)にシンガポールのRELC Buildingで、第3回のAPNIC Meetingが 開催されました。その議事の中から幾つかの話題をご紹介します。 2.1 アジア太平洋におけるアドレス事情 95年12月20日までのIPアドレスの割当回数は747です。これをネットの割当数 でカウントすると45473になります。この中で、JPNIC, KRNIC, TWNICのように 各国のNICに割当てたのは36416、ISP (Internet Service Provider)に割当て たのは4044、APNICが直接にエンドユーザに割当てたのは5013でした。 IANAからAPNICに割当てられているのは、アドレスの先頭が202と203のブロッ クです。このブロックの中での割当済みは36%、割当はしていないが予約の状 態にある領域が27%、空きが37%となっています。予想では今後1年程度で、こ のブロックは割当済となるでしょう。その時にはIANAと相談して新規のブロッ クを割当ててもらうことになります。 IPアドレスの国別の割合は、オーストラリア:38%, 日本:32%, 韓国:14%, 台湾: 3%, タイ:3%,香港:2%, その他(中国など):7%となっています。 なおIPアドレスとは別の話題ですが、関連の情報としてAS番号の割当てを紹介 します。AS番号の割当の国別の割合は、日本:43%, 中国:26%, 香港:17%, 韓国: 5%, 台湾: 1%,その他:7%となっています。 2.2 APNICの財政規模 ここでは、会計年度はカレンダー通り(1月〜12月)とします。95年度のAPNICの 収入は、総額がUS$113,882.60でした。これは会費収入に相当するのですが、 現在のAPNICは会費に強制力を持たせていません。また金額も参加組織の自己 申告を旨としています。 95年1月には、会費に強制力を持たせる案、つまり会費を払わない組織にはサー ビスをしないということを決議しようとしたのですが、アジアの国の中には会 費を到底払えない国もあるため、全員一致には至らなかったものです。(当時 の報告がJPNICニュースレター第3号の23〜24ページにあります。) 本年度の収入の中ではJPNICからの500万円、IAJ(日本インターネット協会)か らの100万円など、日本からの貢献は大きいものです。これに対してAPNICの報 告の中でも特に感謝の意が表明されました。 支出の合計はUS$78,543.97で、その内訳は旅費が34,777.16, 人件費が 23,368.80,機材が13,694.58, 電話代が3,173.99, その他が3,529.42となって います。国際的な調整のために旅費が多くなっています。 このようにAPNICの財政規模は1000万円位です。他の類似の組織と比較します と、米国のInterNICの予算が約1.2億円、欧州のRIPE NCCが約1億円です。まだ APNICの資金は十分とはいえません。 2.3 APNICの法人化 現在のAPNICの会費は、参加組織からISOC (インターネットソサエティ)の銀行 口座に振込む形をとっています。これはAPNICが、いわゆる「任意団体」の形 態であるため、形式的な事務手続きをISOC (非営利の団体として米国で登録さ れている)に委ねているものです。 ただし、この形態では万全な処理とはいえず、そのためにAPNICに寄付をしよ うとしても出来ない組織がありました。このような事態を解決するために APNIC自身が団体として登録するための検討を開始することになりました。 2.4 各国からのレポート 第3回のMeetingに参加した各国からの報告がありました。具体的には、日本、 韓国、ブルネイ、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、スリランカ、 台湾、タイ、香港の各国です。 3 活用できるJPNICの経験 JPNICは、アジア太平洋地域において早い時期にスタートして、規模を拡大し てきました。その過程で幾つかの課題を解決し、また業務のルールを確立して きたわけです。このような経験は各国にとっても大いに参考になるようで、既 に具体的な質問が多数寄せられています。JPNICニュースレターもAPNICの関係 者に配布しています。第2号からは英語によるGuideを掲載していますが、本号 では、さらに進んで一部英語のページを設けました(10節)。