2.4 アンケートの実施結果 1994年11月にIPアドレスの取得申請を行なった94組織、および ドメイン申請を行なった126組織に対し、電子メールおよび郵送による アンケート調査を行いました。 アンケート目的は、今後のJPNICのサービスを改善していくことにあります。 以下に、そのアンケートの調査結果を述べます。 (1)アンケート概説 ●ドメイン申請者について ・まず今回の申請が始めての申請であった組織は全体の1/4となっており、残りの 3/4の組織は以前に申請をしたことがあると答えた。今回が始めての申請となる 組織に対しては、JPNICやIPアドレス、ドメイン名を始め、インターネット全般に 関する情報をどのように入手しているかという質問事項から、申請時の情報の取得 に関しての質問、そして、実際の申請からドメイン名取得までのJPNICの対応、今 後のJPNICに対する要望などの質問について、回答を依頼した。それ以外の組織に 対しては、実際の申請からドメイン名取得までのJPNICの対応、今後のJPNICに対す る要望などの質問についてのみの回答を依頼した。 ●初めて申請をした組織のみを対象とした質問について ・インターネット、JPNIC、IPアドレス、ドメイン名などの一般的な情報については、 書籍・雑誌からか、あるいは人に聞いて調べるという回答が多かったが、その中で 電子メールやWWW,gopherなどを併用するケースが全体の1/3程度見られた。 ・JPNICの存在をどのように知ったかという質問に対して、書籍でという回答が最も 多く、次いで人から聞いてという回答が多かった。また、JPNICの活動内容につい ては、IPアドレス、ドメイン名の割り当て、DNSの管理についてはほとんどの人が 知っていると答えたが、データベースの管理、ネットワーク情報の収集・管理・ 提供、海外との協調、社会的課題の検討という活動に関しては1/2、あるいは 2/3程度の人が知らないと答えた。 これは実際に組織がインターネット接続をする際に書籍などでJPNICが割り当てを しているという事を知るが、その他の機会にはJPNICの存在は知られにくく、また、 知らないままでもインターネットに接続さえすればよしとしてしまう状態があるの ではないかと推測できる。つまり、JPNICのより積極的な対外活動が必要となって いることを示唆するものではないだろうか。 ・申請に必要な情報の入手に関して、入手の方法は、全体の7割の人がすぐわかった、 あるいはわかったと答えているが、残りの3割はどちらともいえない、あるいは、 わかりにくかったと答えている。情報の入手方法は、ftp、e-mail、パソコン通信 でほぼ等数にわかれていた。 ・申請で全体的にわかり易かったかという質問に対しては、わかりにくかったと答え た人はいなかったが、具体的にわかりにくかった点としては、 -最初何も返事がないので苦しんだ -アドレススペース割り当てルールに対する制限の根拠 -個人連絡先の併記が機械処理で可能か判断に困った という3点が挙げられていた。 ●すべての組織を対象とした質問について ・申請から最終通知までの期間については全体の2/3が20日以下であった。 しかし、平均では約24日となってしまったのは、非常に時間のかかった特殊な 場合があったため、このような結果となっている。 | 5 10 15 20 25 (件数) ---+----+----+----+----+----+------- 4|** 5|****** 6|*** 7|*************** 8|************************* 9|** 10|********** 11-15|****** 16-20|**** 21-30|** 31- |****** (日数)| 平均:23.9日 図1 ドメイン申請から最終通知までの日数 この間の割り当て業務に関して、完全に無視されたという苦情や、もう少し迅速に 割り当てて欲しいといった要望がだされている。また、最終通知で希望するドメイ ン名が割り当てられなかった組織の中には、希望した属性でのドメインを取得でき なかったという不満も見られた。 ・申請時のJPNICの対応に関して ほとんどの人が親切だったと答えたが、不親切だったと答えた人も少数だが見られ た。具体的に対応で良かった点、悪かった点を挙げてもらったところ、良かった点 は、ほとんどが迅速に対応してくれたという回答であった。悪かった点では、逆に 対応が遅い、返答がないといったものから、割り当てが機械的で個々の内容を無視 している、融通が効かない、申請書のサンプルがもっとほしい、文書が不明瞭とい った点が挙げられていた。 ・JPNICで改善すべき点に関して 申請書などの公開文書については取得の簡易化、前バージョンとの差分の明記およ び各種申請、ネームサーバなどの登録についての一連の作業手順がわかるような文 書についての要望が寄せられた。 また、 地域型ドメインへの改善要求、虚偽の申請に対する明確な指針、ドメイン 属性の明確化の要求が挙げられていた。 ・JPNICに今後期待すること 運営の効率化、民主化、中立な組織としてあり続けて欲しいといった意見があった。 海外(Asia)のインターネット整備事情広報、一層の啓蒙・教育活動および、 ドキュメント整備の一貫として会報の作成・配布やRFCの和訳、技術的な課題への 取り組みが望まれていた。 ●IPアドレス申請者について ・全体の1/3の組織が、今回の申請が初めてであったと答え、残り2/3の組織は以  前に申請したことがあると答えている。 ●初めて申請をした組織のみを対象とした質問について ・インターネット全般に関する情報の取得方法について質問した。大部分の組織は、 それらの情報を人に聞いて調べ、また入手していると答えた。また、書籍あるいは 雑誌の利用も全体の1/3ほど見られた。しかし、この結果はインターネットに関 する情報の取得方法が余り明確化されていないということもできるだろう。プロバ イダーやJPNICは情報の問い合わせ先としては見られていないことから、情報 の提供者としての役割を果たしきれていないと考えられる。 JPNICの存在自体についても、人から聞いて知ったと答えた人が全体の8割近 くと最も多く、知られにくい存在であることを表している。また、UNIX Fairや Interop で知ったという回答がなかったことから、それらのフェアでの出展方法を  見直す必要性も考えられるだろう。JPNICの活動内容については、アドレス・ド  メイン名の割当以外に知られているものは、ドメインネームサーバの管理についてが  全体の半数で最も多く、続いてAPNICとの活動、インターネットに関する課題の  検討、ネットワーク情報の収集・管理・提供、データベース管理となっている。ここ  でも、情報の管理・提供などの活動が知られていないことが示されている。 ・次にIPアドレスの取得申請に関して、申請するまでの情報の収集方法について質問を  行った。  申請に必要な情報の取得方法について、すぐわかったと答えた人が全体の約半数と最  も多かったが、どちらとも言えないと答えた人も1/3以上いる。情報の入手につい  て、JPNICからの郵送によると答えた人が全体の約30%で、その他には、FTP、  mail server、パソコン通信によるとなっている。また、FTP、mail server での必要  なファイルのファイル名は、分かりやすかったという回答が得られている。  申請全体に関しては、70%以上の人が分かりやすかったと答えているが、言葉の表 現や用語の使い方がわかりにくいと答えた人も見られた。 ●すべての組織を対象とした質問について ・申請をしてから実際の割当までの手続きについて、申請から受付通知を受け取るまで  と、最終通知を受け取るまでの期間を質問した(図2、図3)。  まず、受付通知を受け取るまでの期間を表にまとめたものを下に示す。全体の平均は  7.5日となっており、これは郵送による申請の組織が多少メールによる申請の組織  より遅れることによるものである。しかし、10日以上かかっている申請については  その原因を究明し、作業改善につなげる必要があるだろう。  続いて申請してから最終通知を受け取るまでの期間を見ると、全体平均は23.0日  と、比較的長い時間がかかっていることがわかる。早いものは4日しかかかっていな  いが、非常に長期間かかっている申請もあり、期間にはばらつきがあるため、一概 に平均から分析することはできないが、このばらつきをなくすことが必要とも言え るだろう。  これらの期間は申請組織にとって、意外に早かったと答えた組織は全体の20%であ  り、逆に期間が長かったために業務に支障を来したと答えた組織は5%程度であった  。特に影響を及ぼさなかったという組織がほとんどであったが、中には、この申請手  続きの期間中にインターネットに対する知識が向上したと答えた人や、予想通りの期  間であったため支障なかったと答えた人もいた。 | 5 10 15 20 25 (件数) ---+----+----+----+----+----+------- 1|** 2|********* 3|****** 4|*** 5|****** 6| 7|********** 8| 9| 10|******* 11-15|****** 16-20|** 21-25| 26-25|** (日数)| 平均:7.5日 図2 IP申請から受付通知までの日数 | 5 10 15 20 25 (件数) ---+----+----+----+----+----+------- 4|* 5|** 6| 7|***** 8|** 9| 10|*********** 11-15|************* 16-20|***** 21-25|** 26-30|******* 31- |**** (日数)| 平均:23日 図3 IP申請から最終通知までの日数 ・希望したアドレスの個数と、取得したアドレスの個数について質問したところ、C1  、C2を希望した組織はほとんど希望した個数を取得できているが、それ以上のアド  レス申請組織に対しては、多くの組織が希望した個数を取得できず、個数を減らした  取得となっている。全体の40%の組織が希望した個数を取得できない結果となって  いる。その理由としては、サブネット数、ホスト数からのアドレスの規模が不的確な  ためというものがほとんどだったが、追加の申請だったためという組織や、中には理  由は不明という組織もあった。後に述べるJPNICが改善すべき点という項目で、  割当の基準を明確化してほしいという意見が見られる。 ・手続き全体に関して、申請から割当(あるいは却下)まで順調に進んだかという問に  対して、そう思うと答えた人が約半数で最も多かったが、低い評価をしている人も全  体の20%ほどいた。JPNICの対応については、親切だった、まあ親切だったと  答えた人が全体の40%だったが、逆に不親切だった、少し不親切だったと答えた人  も15%にのぼり、改善の余地が見られる。 ・JPNICの対応に関して特に良かった点、悪かった点について 親切に対応してくれた、迅速であったという意見がある一方、杓子定規な対応が 見られたという意見もあった。 ・その他JPNICで改善すべき点などについて 審議過程の明確化、公開文書取得方法の簡易化といった意見が寄せられた。 また事務処理の迅速化をのぞむ声もあった。 ・JPNICに今後期待すること 公平かつ迅速なサービス、マンパワー不足の解消、オープン性の保持などサービス に関する要求が見られた。 一方、アドレスの管理運用について活気的な手法の考案、ネットワークの形態に応 じた取得個数のガイドラインの作成など技術的な要望も増えてきている。 現在Open Mailing Listを運営しており、そちらを通じてより多くの人との 技術的な議論も行なっているので利用してもらいたい。 ●最後に アンケートの中で記述いただいたJPNICの対応に関して特に良かった点/ 悪かった点、改善すべき点、今後期待する点については、主だった意見しかここに は掲げることはできませんでした。すべての意見について検討し必要に応じて今後 の活動に反映していく予定です。 今後も年に1回程度のアンケートを実施しJPNICのサービスの改善に反映させ ていく予定ですが、合わせてアンケートデータの集計方法などについても工夫して 利用者/申請者にもわかりやすく結果を公開していく予定です。 御意見をgoiken@nic.ad.jp へお寄せいただければ幸いです。 最後に本アンケートに御協力いただいた方々にこの場を借りてお礼申し上げます。 どうもありがとうございました。