35 師範小景

高工の西隣り。
古典と純正の學舍が師範です。
寛政の舊き歴史を持つ徽典館がその前身で、三百餘の生徒は將來國民教育の重任を負ふ壯者です。
郷土研究に於て、勤勞教育に於て近年頓に名實を増せし我校……とかう書いたら無趣味ですが。
御覽なさい。赫土の校庭に學校風景を點綴する紅頬の汗のあとを。
 「葉櫻の樹越しに沈む西山の陽。」
佐藤紅緑先生はこんな純情少年物語を發表されてゐます。多角の各面に在る輝きを綜合するとき本校の特色が眞に窺はれるのです。
今年から山梨縣實業教員養成所の門札もかけられ、新しく作られたプールは運動場の南に白く光つてゐます。

(保坂勝三)


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