65 大菩薩人形

中里介山氏の「大菩薩峠」及びその劇化によつて、余りにも有名である大菩薩峠附近の風俗「ゴロカン姿」であります。
山から木を切り出して束ね「ゴロカン」を通して、ゴロゴロ轉して下つて來る、一寸變つたローカルカラーの木彫です。
大菩薩人形としては、他に小説の主要人物、龍之介その他の木彫、竹細工等も多くあります。
山麓の鹽山町には、名刹向嶽寺、鹽山温泉、竹細工傳習所があります。近くに機山公の墓所惠林寺、樋口一葉女史の碑等があり、この附近一帶に柿、栗等の名産地であります。
本縣の農民美術品には富士見人形、三猿鈴、葡萄蔓細工、甲斐ヶ嶺燒、夢見壺、能三番、白樺細工、卵殼モザイク、おかひこ人形等色々あります。
何れもローカルカラーたつぷりで、山の美、溪の詩を探ぐる人々の旅情を、十分慰め得るであらうことは請合ひです。

(角田 宏)


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